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言葉の遅れか心配!?構音獲得の順番と幼児の言葉の発達について

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幼児が言葉を獲得するにあたって、言えるようになっていく音には順番があります。2歳、3歳と成長するにつれて喋る言葉も増えますが、それぞれの言葉の「音」が間違っていたりすると、「正確に発音できないのは言葉の遅れなのではないか」と心配される方も少なくありません。

  

本日は、それぞれの音が発音できるようになるまでの過程をご説明いたします。

 

今回のエントリーは前回の続きとなります。

 

 
 

声が言葉になる過程とは!?

声を出すために音を作ることを、専門的には「構音」「調音」などと言いますが、「発音」と同じような意味です。そして、その「構音」には段階があります。
 
発声:肺から送られてきた空気を声帯で振動させて音を出す
共鳴:口腔や鼻腔などの器官で音を共鳴させて、音を変化させる
構音:口唇や舌などを使って、狭めを作ったり閉鎖したりして、音を変化させる
 
生まれたばかりの赤ちゃんは、肺から空気を送って「あーーーー」と言う声(①発声)は出せますが、②の共鳴はまだできていません。
 
こちら↓の過去記事でも書きましたが、生まれたばかりの赤ちゃんは咽頭のスペースが狭く、共鳴させることが構造上難しいのです。
 


②の共鳴ができるようになるのは、そのスペースが広がり始める生後4~6か月のことになります。その頃になると、単純に声帯を振動させるだけの「発声」から「あーー」「えーーー」「いーーー」などの共鳴を伴った母音のような音を出せるようになります。

 

そして、その後③の構音ができるようになってくるのですが、「ママ」や「パパ」などを言えるようになるには、③の構音ができるようになる必要があります。
 
③の構音は、例えば、「だっだっだっ」と言う音を作るには、舌の先を上の歯茎の裏に押し付けて、発声をする際に吐き出す空気を一瞬せき止めてから破裂するようにして構音する必要がありますし、「しゃしゃしゃ」と言う音を作るには、上下の歯を合わせるようにしながら口角を引き、呼気を歯の隙間から漏らすように吐きながら構音する必要があります。
 
このような構音はそれぞれ難易度が違い、赤ちゃんが言葉を獲得する時に、簡単な物(構音しやすい音)からできるようになるという順序性があります。
 

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発音の難しさによって喋れるようになる音には順番がある!?

その構音の獲得のしやすさを表した表がこちら。
 

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見慣れない音声記号もあり、ちょっとわかりにくいので、すごく簡単に書くと、
 
◆比較的簡単   :p,b,t,m,j,k,t∫
◆ちょっと難しい :h,w
◆難しい     :s,ts,dz,r, ∫
 
と言った具合です。
 
それぞれの研究者によって違いがあり、被験者数もバラバラなのですが、すごくざっくり言うと「パ行」「マ行」などは簡単だけど「サ行」「ラ行」は難しいという事です。
 (全部カタカナのみで表記すると正しくないものも出てきますが、今回はその辺は気にせず行きます)
 

我が子の発音がおかしい!?もしかして言葉が遅れてる?

構音の獲得の難易度を見てもらうと、「ぱぱ」や「まま」などが初語として出やすいのは、「p」や「m」の音が構音しやすく、比較的早い月齢で獲得することが出来るからだと理解していただけると思います。
 
逆に、獲得が難しい音に関しては、
 
4~6歳児の1689人に絵カードを呼称させ、「r:(ら)」の音が90%以上正しく発音されるのは5歳6か月~5歳11か月(中西・大和田・藤田、1972)
 
という研究結果があり、「ラ行」の音は、他の音と比べても言えるようになるのが遅い、難しい音です。
 
他にも、「ts」の音は、「つなみ」などの「つ」の音ですが、難易度は高い音になります。
 
上記の表によると、「ts」の音は、ほとんどの研究者で獲得時期は「5歳以降」としていますが、その月齢になるまでの子が「つなみ(tsunami)」と言おうとすると、比較的簡単な音の中にある「t∫」の音になってしまい、「ちゅなみ(t∫unami)」と言ってしまうでしょう。
 
つまり、3~4歳くらいの子が「ちゅなみ」と言ってしまうのは言葉の遅れではなく、未だ獲得できる月齢になっていないだけなので、「ts」の音が言えないのは全く問題がありません。
 
しかし、「ts」同様に難しいとされる
 
「dz」(「ず」の音:ぞう等) ※正確に言うと50音の「ざじずぜぞ」の音とはちょっと違う
「r」(「ら」の音:りんご、らんぷ等)
「∫」(「しゃ、しゅ、しょ」の音:しゃつ、しゅみ等)
 
などでも、6歳くらいまでには多くの子が獲得できるとされており、そのくらいの月齢になっても言えていない音がある場合は、一度専門家に見てもらうと良いかもしれません。
 
それ以外で、発達の段階にある子供の発音を無理に矯正する必要はなく、自然と正しい発音ができるようになるので特に心配はいりません。先ほど紹介した表も、あくまで参考程度にとどめつつ、ご覧になるのがいいと思います。
 
正しく言えない音は、今だけの赤ちゃん言葉だと思って大事に聞いてあげてくださいね。
 

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構音障害の可能性がある場合は専門家(言語聴覚士)へ

今回は構音の獲得と言葉の発達について書きましたが、子供の発音の間違いが発達の過程での音の獲得順序とは関係なく、発声がうまく行えない「構音障害」の可能性もあるので注意が必要です。
 
例えば、
 
1.「すいか」を「ついか」と言うなど、音の置き換えが起きている場合
2.「はな(hana)」と「あな(ana)」と言うなど、音の省略がある場合
3.日本語にはない音(タ行とカ行の中間音になっている)を発音している場合
 
上記などの場合で、発達年齢からみて既に獲得されているはずの音を、一貫して間違えている場合は、専門家に見てもらう必要があるかもしれません。

構音障害の種類

構音障害には、いくつか種類があります。
 
幼児の言葉に関係するものに絞ると、
  • 器質性構音障害:発声器官の異常が原因(舌小帯短縮症(舌の裏のヒダが生まれつき短い)や口唇・口蓋裂などや、ケガによる損傷など)
  • 聴覚障害性構音障害:聴覚の障害が原因の構音障害(先天性難聴など)
  • 機能性構音障害:発声器官の器質、聴覚、知的などに問題が見られなくても発生し、原因は不明であることが多い
などがあります。
 
前述した1~3の、音の置き換えや省略、日本語にはない音などは、「機能性構音障害」の可能性があり、幼児の言葉の発達過程で誤って獲得してしまった構音が定着してしまったと考えられていますが、その原因の多くは不明です。
 
そしてこれらは、構音の発達過程の誤りなのか、機能性構音障害なのかの見分けがつきにくく鑑別がとても難しいです。
 
「異常構音」などとも呼ばれますが、サ行がタ行にいつも置き換わってるなど「一貫して別の音に置換してしまう」場合や、「日本語にないすごく違和感を覚える音を発音している」場合などは、構音障害を疑ってもいいかもしれません。
 
学生時代に、異常構音はなかなか矯正するのが難しい、、そう習いました。実際の患者さん(幼児)の音声を聞いたりしましたが、その構音は明らかに正常とは違う違和感を覚えるものでした。
 
僕自身は、成人の患者さんの疾患をメインに診る病院での実習のみでしたので、小児の構音障害は大学時代の勉強した知識しかありませんが、我が子の育児にかかわるようになって色々と思いだし、また勉強したいと思うようになりました。
 
言葉(構音)は、時間をかけて獲得していくもので個人差もあるので、周囲と比較して不安になりすぎる必要はありませんが、構音障害が疑われる場合は早めに専門家(言語聴覚士)に見てもらうべきなので、本日の記事に書いたような特徴がある構音がないか、ちょっとだけ気にしてお子さんのお話に耳を傾けてあげてくださいね。
 

まとめ

笑いから喃語、そして初語が出て少しずつ言葉を喋るようになっていきますが、それぞれの音が完ぺきに発音できるようになるには時間がかかります。そして、音によって発音の難しさが違い、難しいものでは完璧に発音できるようになるのが5歳以降のものもあります。
 
 子供の成長を見ていて、ふと「我が子の言葉の獲得は正常なスピードなのだろうか」「言葉の遅れがあるんじゃないか」と不安に思う事もあるかもしれませんが、今回の様に比較的難しいとされる音については、小学校に上がるまでなら完璧でなくてもあまり心配することはありません。
 
 ただし、音の置き換えや省略、違和感を覚える構音が見られた場合など、構音障害の可能性が疑われる場合は、一度専門家に相談してください。
 
以上、幼児の言葉の発達について、長くなりましたが読んで下さりありがとうございました。
 
※IPAの音声記号とそれ以外の記号が混ざっていますが、一般向けの内容という事でご容赦ください
例 tsɯnami → tsunami等
 
<過去記事では他にも赤ちゃんの発達や成長について書いています>